2025/12/09

<代表コラム vol.1> 能登で気づいた、時間の流れがつくる豊かさの話




こんにちは。NAIAの清水です。

今日は、NAIAというブランドの根っこにある価値観——

「丁寧に暮らす」ということについて、少し長めに書いてみたいと思います。

化粧品づくりは、製品そのものだけではなく、「どんな日々を届けたいのか」が常に問われる仕事です。

私が能登に関わるようになってから、この土地の文化や風景、人の営みを、ちゃんと形にして届けたい。そんな思いが強くなり、ヘルスケアというかたちで表現しようと決めました。

それが、NAIAが生まれた最初のきっかけです。

そして、私と部長の今井のふたりで始めた小さな企画は、気づけば13名のチームになっています。

農業、マーケティング、商品企画、営業、そして会社を支えるコーポレート。それぞれの専門性を持つメンバーが集まり、ひとつのブランドとして成長してきました。

能登に拠点を置いて感じた、時間の質の違い

能登で働くようになってまず感じたのは、時間の流れ方がまったく違うということでした。

世界農業遺産「能登の里山里海」に象徴されるように、自然と人が無理なく共存している。畑の仕事も、海と山のめぐみも、暮らしの循環の中にあって、「急がない」ことが前提にある。

その価値観は、仕事の向き合い方にも自然と影響しました。

「日本海固有水」から知った、動かない時間の存在

海洋研究者の方から聞いた「日本海固有水」という存在も、強く印象に残っています。深海に、ほとんど動かずに何十年も留まっている海水がある。
それを知って、時間には「流れていくもの」と「そこにあるもの」が両方あることを意識するようになりました。

能登での生活は、後者に目を向ける機会を確実に増やしてくれました。

世界林業遺産「能登のアテ林業」が教えてくれる、続けるという価値観

もうひとつ、能登の根っこにあるのが世界林業遺産「能登のアテ(ヒバ)林業」です。現地でお話を伺うと、「急いでやると続かない」という言葉をよく耳にします。

木を育て、森を整え、次の世代につないでいく。効率を優先しすぎず、続けられる方法を選ぶ。そうした積み重ねが、長い時間を支えてきたと感じました。

この考え方は、私たちが目指す「長く使われるものづくり」とも根っこでつながっています。

■ NAIAのものづくりは、「自然の恵みを借りる」ことから始まる

能登で活動する中で、自然素材への向き合い方が大きく変わりました。

酒粕、菊炭、コメヌカ、能登ヒバ。
どれも自然がゆっくりと時間をかけてつくったものです。
だからこそ私たちは、素材を「使わせてもらう」意識を大切にしています。

110年の研究力で素材の良さを丁寧に引き出し、生活に馴染むプロダクトへと仕立てていく。派手さではなく、日々のリズムに寄り添う存在でありたい。

それが、NAIAのものづくりの根底にある考え方です。

■ 「丁寧に暮らす」とは、小さな変化に気づける状態のこと

能登での生活は、風の音や空気の匂い、光の変化など、些細なことに気づく場面を増やしてくれました。そこから、丁寧に暮らすとは、完璧を目指すことではなく、小さな変化に気づける余白を持つことなのだ、と考えるようになりました。

NAIAの商品も、「その日の心地よさに気づくきっかけ」でありたいと思っています。

最後に —— 能登の価値観を、NAIAを通して静かに届けていきたい

能登の文化や風景、人とのつながりから学んだものは、NAIAというブランドの方向性に大きな影響を与えています。

私たちのプロダクトが、日々の生活の中でそっと寄り添い、この土地で感じた豊かさを少しでも届けられたら嬉しいです。

これからも丁寧に、誠実に、ものづくりを続けていきます。


代表取締役 清水 雅楽乃(株式会社NAIA